Nmode X-PW1-MKIII 1bitデジタルパワーアンプ
Nmodeの1bitデジタルパワーアンプのロングセラーモデル・X-PW1-MKII(2017年・定価92,400円)がX-PW1-MKIIIにモデルチェンジしました。2024年7月1日に発売。価格は99,000円。X-PW1-MKIIIの内容をX-PW1-MKIIと比較しての違いを交えてご紹介。
Nmodeブランドの背景
Nmodeは、エヌモード株式会社が手掛けるオーディオブランドで、独自の技術である1bitデジタルアンプを使用しての高品質なアンプなどを製造しています。日本国内外のオーディオ愛好家に支持されており、その音質の高評価が特徴です。特に、デジタルアンプやパワーアンプの分野での技術革新に力を入れています。
Nmodeブランドが手掛ける1bitデジタルアンプ(PDM変調D級アンプ)とは
Nmodeが提供する1bitデジタルアンプは、PDM(パルス密度変調)技術(SACDと同様の原理)を採用したD級アンプです。この1bitデジタルアンプこそNmodeの代名詞であり、核となる技術です。そして、これによる高音質への評価がブランドを今日まで支えています。
1bitデジタルアンプは1990年代にシャープが開発し、非常に高い評価を得ました。小型で省電力な部分も新時代のエコ技術として注目されました。シャープがオーディオ事業から撤退するときに、社内で1bitデジタルアンプを開発した人が独立して設立したのがNmodeであり、シャープ時代の技術に加え、その後の新たな改良も加わり、設立当初からアンプの人気ブランドとして確固たる地位を築いています。同様の原理のアンプを他社が開発しないこともあり、今日まで唯一無二的なポジションを維持しています。
この技術により、Nmodeのアンプは高解像度でクリアな音質が実現されており、小型ながらも高い性能を発揮します。鮮烈かつ自然な音質も見逃せません。これまでのアナログアンプでは表現しきれなかった細部の音まで鮮度高く再現することが可能とも評価されています。
1bitデジタルアンプの音質的、実用的メリット
1bitデジタルアンプの最大の音質的メリットは、そのクリアで透明感のある鮮度感の高い音質です。独自のデジタル技術を駆使した結果、非常に精細な音再生が可能です。また、実用的なメリットとしては、小型であるため設置場所を選ばず、電力効率が高いため省エネである点が挙げられます。
X-PW1シリーズの特徴
X-PW1シリーズは、その緻密な設計と高水準の技術を用いた製品です。 特に注目すべきはそのサイズと性能のバランスです。ハーフサイズの筐体に、ステレオ動作とモノラル動作でも対応できる多様性を持ち合わせているため、様々な音響環境に適応します。さらに、ボリューム付きで簡易プリメインアンプとしても機能する点も魅力です。
Nmode X-PW1-MKIIIのX-PW1-MKIIからの向上点
サンプリング周波数が5.6MHzから11.2MHzにアップ
Nmode X-PW1-MKIIIは前モデルであるX-PW1-MKIIに比べ、サンプリング周波数が大幅に向上しています。1bitデジタルアンプはサンプリング周波数の高さが品位に直結するとも言われており、非常に重要なアップデートです。
5.6MHzから11.2MHzへのアップグレードにより、より高精度なデジタル処理が可能となり、音質の向上を実現しています。これにより、信号の精度が増し、よりクリアで詳細な音質を体験できます。
特に位相特性に影響のあるフィルターパーツを高精度化
位相特性は音質を左右する重要な要素の一つです。Nmode X-PW1-MKIIIでは、この位相特性に大きな影響を与えるフィルターパーツが高精度化されました。高精度なフィルターパーツを使用することで、周波数特性が改善され、より自然な音場再現が可能となります。
MKIII用に、薄膜高分子積層コンデンサの専用品を製作
Nmode X-PW1-MKIIIでは、薄膜高分子積層コンデンサの専用品が採用されています。これにより、コンデンサの性能が大幅に向上し、安定した電流供給が可能となりました。この高性能なコンデンサは、音質の透明感とダイナミクスを向上させ、パワーアンプとしての性能をさらに高めています。
電源部、フィルター定数も大幅に見直し、専用部品を投入
Nmode X-PW1-MKIIIでは、電源部とフィルター定数も見直されています。専用部品が投入されることで、電源供給がさらに安定し、フィルター回路の精度も向上しています。これにより、全体としての音質がさらにクリアになり、微細な音のニュアンスまで再現可能となっています。
全体的な最新技術の導入
Nmode X-PW1-MKIIIはただのハードウェアのアップグレードに留まらず、全体的に最新の技術が導入されています。これにより、信号経路の最適化とノイズの低減が図られ、より高品質な音響体験を提供します。エヌモードの独自技術が詰まったこのモデルは、音楽をより深く楽しむための最適な選択肢です。
音質の向上ポイント
Nmode X-PW1-MKIIIの音質向上ポイントは数多くあります。サンプリング周波数の向上による高精細な音質、フィルターパーツやコンデンサの高性能化、電源部の強化など、多岐にわたります。これらの改良により、X-PW1-MKIIと比較して明らかにクリアでダイナミックな音を実現していることでしょう。特に、デスクトップでも使用できる小型ながらパワフルな性能は、幅広いユーザーにとって魅力的です。
デザインが変更
音質や使い勝手には影響しませんが、アルミ製のフロントパネルのデザインが少し変わりました。ボタンやノブなどの位置やデザインは変わりませんが、フロントパネルに直線的でスタイリッシュな模様が入りました。これまでは良くも悪くもシンプルで質実剛健なイメージでしたが、デザイン性は高まったと言えるでしょう。
Nmode X-PW1-MKIIIとX-PW1-MKIIで共通の内容
デスクトップでも使用出来るハーフサイズのアンプ
Nmode X-PW1-MKIIIとX-PW1-MKIIは、どちらもデスクトップでも使用できるハーフサイズのパワーアンプです。外形寸法は210×244×55mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.1kgとなっています。このコンパクトなサイズは、小型のスペースでも設置が可能で、オフィスや書斎などの限られたスペースにも対応しています。
ステレオ動作とモノラル動作で使えるパワーアンプ
両モデルは、ステレオ動作とモノラル動作に対応しており、多様な使用シーンに応じた柔軟な運用が可能です。ステレオ動作であれば、2チャンネルの音響再生ができ、一方モノラル動作ではより強力な音出力が得られます。これにより、ユーザーはより高い精度とパフォーマンスを求める場合に応じた設定を選択できます。
ボリュームが付いているので、簡易的にプリメインアンプとして使える
Nmode X-PW1-MKIIIとMKIIには使いやすいボリュームコントロールが付いており、簡単に音量調整が行えます。このため、プリアンプがなくとも、簡易的にプリメインアンプとして使用することが可能です。これにより、初めてオーディオ機器を触るビギナーでも手軽に高音質を楽しむことができます。
入力端子(STEREO時)は、ステレオRCA×1系統 (MONO時)は、モノラルXLR×1系統(2番ピンHOT)
両モデルとも、ステレオ動作時はステレオRCA端子を1系統持っています。また、モノラル動作時にはモノラルXLR端子(2番ピンHOT)が1系統備わっています。この多様な入力端子により、様々なオーディオ機器と簡単に接続ができ、柔軟なシステム構築が可能です。
定格出力(STEREO時)は14W×2(8Ω)、16W×2(6Ω)、18W×2(4Ω)
定格出力は、ステレオ動作時において14W×2(8Ω)、16W×2(6Ω)、18W×2(4Ω)のパフォーマンスを発揮します。これにより、幅広いスピーカーとの組み合わせが可能であり、安定した音質を提供します。一般的なステレオパワーアンプとしては小出力なことには留意が必要です。
定格出力(MONO時)は16W×1(8Ω)、20W×1(6Ω)、26W×1(4Ω)
モノラル動作時の定格出力は、16W×1(8Ω)、20W×1(6Ω)、26W×1(4Ω)となっています。このモードを利用することで、やや高い出力が必要なシチュエーションでも、十分な音量と音質を確保することができます。
スピーカーターミナル:1系統
Nmode X-PW1-MKIIIとMKIIは、どちらも1系統のスピーカーターミナルを持っています。このシンプルな設計は、初心者にも扱いやすく、接続の手間を減らすことができます。
適合インピーダンス:4Ω以上
両モデルの適合インピーダンスは4Ω以上です。この仕様は多くのスピーカーに対応しているため、ユーザーは自身のスピーカーシステムとの互換性を心配することなく使用することができます。
Nmode X-PW1-MKIIIとX-PW1-MKIIの特徴
前世代モデルの評価
NmodeのX-PW1-MKIIモデルは、その高性能とコンパクトなデザインで市場ですでに高評価を受けています。特にエヌモードの独自技術である1bitデジタルアンプ(PDM変調D級アンプ)は、価格やサイズに対して驚異的な音質を提供するとされています。小型でありながらも、十分なパワーを持ち、高品質な音楽再生が可能です。使用者からはステレオとモノラルでの柔軟な運用が評価されており、デスクトップ環境や小規模なリスニングルームでの使用に適していると言われています。
進化した点とその評価
Nmode X-PW1-MKIIIは、前世代モデルのX-PW1-MKIIから大幅に進化しています。最も注目すべき変更点は、サンプリング周波数が5.6MHzから11.2MHzにアップした点です。これにより、さらに高解像度での音楽再生が可能となり、音質の向上が期待されます。また、特に位相特性に影響のあるフィルターパーツが高精度化されており、音のクリアさが一層向上しています。
さらに、MKIII用に薄膜高分子積層コンデンサの専用品が製作され、電源部とフィルター定数も大幅に見直されました。この専用部品の投入によって、前モデルに比べて一層の安定性と高音質が実現されています。最新技術の導入も見逃せないポイントで、全体的により洗練された音質を提供します。
これらの改良により、X-PW1-MKIIIは前世代モデルの評価をさらに上回る結果となることが予想され、特に音質を重視するオーディオファンにとって注目のパワーアンプです。
X-PW1シリーズのユーザー評価
X-PW1シリーズは、ユーザーから非常に高い評価を受け続けています。特に注目されているのはその鮮烈かつ自然な音質です。この点においてははるかに大型・高額なハイエンドにも匹敵するとも言われてきました。
また、エヌモード独自の技術が詰め込まれたこのパワーアンプは、小型でありながら強力なパフォーマンスを発揮します。プリメインアンプとしても使用できる点も評価されています。一部のユーザーは、デスクトップ環境で使用してもコンパクトなサイズ感が嬉しいと感じており、210×244×55mm(幅×奥行き×高さ)で3.1kgというサイズは置き場所を選ばない便利さが好評です。
また、Nmodeのデジタルアンプ全般に対する信頼感も高いです。特にX-PW1シリーズは、音の質感や解像度にこだわる愛好者に人気があり、ステレオ動作とモノラル動作の切り替えができる点も、このモデルの魅力の一つです。
総合的に見て、X-PW1シリーズはその音質の高さ、デザインのコンパクトさ、そして多機能性がユーザーから高く評価されています。スピーカーターミナルや入力端子などの作りも充実しており、さまざまなシステム構築に対応できる汎用性の高さも、多くのユーザーに支持される理由となっています。
まとめと結論
総合評価
Nmode X-PW1-MKIIIとX-PW1-MKIIの比較から見えるように、音質や性能に関してはMKIIIが明らかな進化を遂げています。特にサンプリング周波数の向上や専用部品の採用により、音質が格段に向上しています。そのため、より高いオーディオパフォーマンスを求めるユーザーにはMKIIIが推奨されます。しかし、MKIIも依然として優れた性能を持ち、多くのオーディオファンからの評価も高いパワーアンプです。
X-PW1シリーズがおすすめのユーザーや使い方
X-PW1シリーズは、その高性能を最大限に引き出すために、本格単品オーディオシステムの一部として使用されることが多いです。特にデスクトップ環境での高音質を求めるユーザーや、小型でありながら優れた音質を提供するパワーアンプを探している方におすすめです。プリメインアンプとしても使用できるため、システム構築の柔軟性を求める方にも最適です。
アンプの数値上のパワーは控えめなため、デスクトップからそれほど広くない空間で、あまり音量は欲張らない使い方が向いています。ただ、高能率スピーカーなら広めの空間でも大きな音で楽しめるかもしれません。その場合はモノラル動作で2台使用も検討してみてください。
X-PW1シリーズがあまりおすすめでないユーザーや使い方
逆に、X-PW1シリーズは見た目はミニコンポのようですが、基本的に本格的な単品コンポ製品であり、初めてオーディオシステムを構築する方や、お手軽に高音質を楽しみたい方にはあまり向いていないかもしれません。デジタル入力付アンプを求める方にも向いていません。
また、高出力を求める大規模なシステムには対応できないケースもあるため、その点を考慮する必要があります。本格システムを組む方でも、低能率なスピーカーや、広めの空間での大音量再生を好む使い方には向いていません。
どちらを選ぶべきか?
Nmode X-PW1-MKIIIとX-PW1-MKIIを比較すると、やはりX-PW1-MKIIIの方が最新技術や部品の改良により、音質やパフォーマンスが大幅に向上しています。そのため、より高い音質を求める方や、最新の技術を体験したい方にはMKIIIが最も適しています。一方で、MKIIも依然として高評価で安定の実力もあり、コストパフォーマンスを重視する方には十分な選択肢となるでしょう(新品価格は差が小さいので、価格差が大きくなる中古も視野として)。出力は変わっていないので、おすすめ/あまりおすすめできないシステムのパターンも変わらないことにも留意してください。
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