AKG K701とK712 PROを比較しての違いは?

ヘッドホン

はじめに

この記事では、AKGの開放型ヘッドホン、K701とK712 PROの特徴と違いについて詳しく比較して解説します。オーディオ愛好家から高い評価を受けているこれらのモデルは、音楽をより深く、正確に楽しむために開発された製品です。

それぞれのモデルがどのようなユーザーに適しているか、その使用体験や音質、デザインの違いを明らかにしていきます。また、レビューやユーザーの声も取り入れながら、購入前に知っておくべき重要な情報を提供します。

ヘッドホンの選択は、個々のリスニングスタイルや好みに大きく依存しますが、この記事がAKGのK701とK712 PROの理解に役立つことを願っています。

AKG K701の特徴

仕様

AKG K701はオーバーイヤー型の有線開放型ヘッドホンで、独自のフラットワイヤー・ボイスコイルとTwo-layerダイヤフラム構造により、広い音場と繊細な音の表現が特徴です。インピーダンスは62Ωであり、周波数レスポンスは10Hzから39.8kHzという広範囲にわたります。これにより、非常に広い音域で再生が可能です。また、重量は約235gと軽量で長時間のリスニングにも適しています。

タイプ:オーバーヘッド
接続タイプ:有線(ワイヤード)
装着方式:開放型(オープンエアー)
駆動方式:ダイナミック型
プラグ形状:標準プラグ/ミニプラグアダプター付属
インピーダンス :62 Ω
音圧感度 :93 dB
再生周波数帯域:10Hz~39.8kHz
コード長 3 m
最大入力 200 mW

使用体験

K701を使用すると、その開放感あふれるサウンドステージに圧倒されます。特にクラシック音楽やアコースティック系のジャンルでは、楽器一つひとつの位置が明確に感じられるほど定位にも優れてます。ただし、高域が優勢で低音が弱めに感じることもありますが、伸びやかな再現性を基本に、細部までクリアに聞こえるため、音楽の細かな表現を楽しむことができます。

優れている点

AKG K701の最も優れている点は、なにより音質です。解像度が高く、それだけでなく音の質感や表現力も高く、音の細かいニュアンスまで捉えることができ、音楽を楽しめることに加え、より深く理解することが可能です。音に艶や品位を感じ取れるという点でも特筆されており、ヘッドホンの歴史に残る名機と評されています。また、高音質志向の開放型ヘッドホンとしてはかなりリーズナブルな価格でありながら、定評あるプロレベルの音質を提供していることも大きな魅力の一つです。

弱点は鳴らしにくいことなどいくつもあります

K701の弱点として非常によく挙げられるのは、鳴らしにくいことです。高インピーダンスと開放型ヘッドホン特有の低能率特性により、十分な駆動力を持ったアンプ無しでは本来の性能を発揮しにくいと言われています。そのため、K701を最大限に活かすためには、適切なヘッドホンアンプの選択が重要となります。

その鳴らしにくさには悪い意味で定評があり、スマホや低価格なDAP、低価格なドングル型DAPでは適切な音量が取れない、また、音量は出ても、本機本来の音質は発揮できないといった弊害もあります。K701を1万円代で入手できても、十全に鳴らすためには10万円を超えるヘッドホンアンプやDAC複合機が必要だとさえ言われています。

そのほか、設計が古いこともあり、最近のヘッドホンでは当たり前となったリケーブルに対応していません。そのため、不意な引っ張りによる断線の危険性、ケーブル内部の接触不良などが起きてもケーブル交換で解決できない、バランス接続を簡単に試せないといった弱点があります。

さらに、音質優先の開放型設計のため遮音性、音漏れの双方とも悪く、屋外や公衆の前、家でも家族の前ですら使うことが難しいといった点もあります。また、本体は軽量なものの、携帯性は考慮されていないため、かさばるというのも弱点です。

AKG K712 PROの特徴

AKG K712 PROは、K701をベースにプロフェッショナル向けに特化した開放型ヘッドホンとして知られています。音響性能の高さと着脱式のケーブルが特徴です。

仕様はK701と同じ

K712 PROの基本的な仕様はK701と同様ですが、リケーブル、イヤーパッドをはじめ、いくつかの改良が加えられています。両モデルは高解像度でクリアな音質が得られるよう設計されており、長時間の使用にも適している快適な装着感も両モデルに共通しています。

使用体験

K712 PROを使用すると、その広がりのある音場と音の分離の良さに驚かされます。帯域バランスもフラットで、ヴォーカルと楽器の分離も非常にクリアで、プロのミュージシャンや音楽制作に従事する人々には特におすすめのモデルです。また、装着感も良好で長時間の使用にも疲れにくい設計となっています。

鳴らしにくい弱点はK701同様

K712 PROもK701と同様に、実力のあるヘッドホンアンプ無しでは十分なパフォーマンスを発揮しづらいという点が挙げられます。適切なアンプの使用が推奨されるため、満足のいく音質を得るためには別途アンプの購入を考える必要があります。そのほか、開放型構造による遮音性の低さ、音漏れの大きさも全く同様。プロ用ヘッドホンは可搬性に優れているものもありますが、K712 PROはK701同様、携帯性は良くありません。

以上が、AKGが誇る高品質な開放型ヘッドホン、K712 PROの特徴です。K701譲りの長所も短所も抱えていますが、その高い再現性と使い心地の良さは、多くのオーディオファンやプロフェッショナルから高評を得ています。

AKG K701とK712 PROを比較しての違い

リケーブルの可否とプラグ

AKG K701とK712 PROの最も注目すべき違いの一つは、リケーブルの可否です。K701は固定式の直出しケーブルを採用しているため、ケーブルの交換ができませんが、K712 PROでは着脱式ケーブルを採用しており、好みや使用状況に応じてケーブルを交換することが可能です。また、標準装着プラグのサイズにも違いがあり、K701は標準的6.3mmプラグを採用していますが、K712 PROはより汎用性の高い3.5mmプラグを使用しています。どちらも変換プラグは付属しているので、3.5mmにも6.3mmにも対応できますが、より多用する端子のほうが標準のモデルを選ぶのも一法でしょう。

デザインの違い カラーリング、ヘッドバンドの幅など

デザイン面でも、K701とK712 PROはいくつかの点で異なります。カラーリングに関して、K701はクラシックな白とゴールドの組み合わせを採用しているのに対し、K712 PROはプロ仕様を意識した黒とオレンジの組み合わせが特徴的です。また、ヘッドバンドの幅も異なり、K712 PROの方が若干広くなっており、長時間の使用において快適さが向上しています。

イヤーパッドの違い

イヤーパッドにおいても、K701とK712 PROでは素材の差があります。K701は通常のスポンジパッドを使用しており、一方、K712 PROではより高級感のある低反発素材を採用しています。この低反発素材は耳へのフィット感を向上させ、長時間のリスニングでも疲れにくいという利点があります。イヤーパッドが違うことは音質の違いにも影響しています。

音質の違い 高域優勢なK701と、よりフラットなK712 PRO

音質に関しては、K701は爽快な高域が際立ち、細やかな音の解像度が特徴です。これに対してK712 PROはよりフラットな音質を目指して設計されており、全域のバランスが非常に良好です。特に中域と低域の再現性にも優れ、ボーカルや楽器の生々しさを感じることができます。

価格の違い 大幅に安いK701

価格面では、K701が実売価格で1.8万円程度と、K712 PROの約3万円に比べて大幅に安価であることも大きな違いの一つです。これは、K701が市場に導入されてから時間が経過しているため、多くの音楽愛好家に手が届きやすくなっているためです。K701は20年以上前は8万円もしたこともあり、ロングセラーモデルであることと、基本設計の高さの双方のメリットが大きく出ていると言えるでしょう。

どちらをどう選ぶべきか

どちらのモデルを選ぶかは、使用する環境や好みの音質、予算に大きく依存します。K701は価格が手頃で高域の解像度や爽快な音質を重視するユーザーに適していますが、K712 PROは多少高価ですが、リケーブルの可否、快適性、音質のバランスの良さを求めるユーザーにより最適でしょう。最終的には、自分が最も重視する要素を考え選ぶことが重要です。

まとめ

この記事では、AKGの開放型ヘッドホンであるK701とK712 PROの特徴と違いについて解説しました。オープンエアー型として高く評価されているこれらのモデルは、それぞれにユニークな特性を持っており、ユーザーの使用目的に応じて適した選択が可能です。

K701は、そのクリアな高域と細やかな音の再現性に優れており、クラシカルな音楽やアコースティックな楽曲のリスニングに適しています。一方、K712 PROはよりフラットな音質で、幅広いジャンルの音楽や音楽制作などのプロ用途にも対応しやすい設計となっています。また、K712 PROの着脱可能なケーブルや快適な低反発素材のイヤーパッドは、長時間の使用においても疲れにくいというメリットを提供します。

価格面では、K701がより手頃であるため、初めて高品質なオーディオ機器を試す方にはおすすめのモデルです。どちらのヘッドホンもその性能から、オーディオファンや音楽制作を行うプロフェッショナルからの支持を受けています。ただし、どちらのモデルもしっかりとしたヘッドホン駆動系(ヘッドホンアンプ)を用意できることは導入に当たっての重要な条件となるでしょう。

最終的に、どちらのヘッドホンを選ぶかは、個人の好みや用途によりますが、AKGの開放型ヘッドホンは、どちらも高い音質と使い勝手の良さを兼ね備えているため、どちらを選んでも満足のいく結果を得られることでしょう。繰り返しになりますが、どちらを選ぶにしてもヘッドホンアンプの選択と用意は重要です。どうか適当な環境で、こんなはずではなかった、AKGのヘッドホンは音が悪いなどと思うようなことにならないでください。

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