FOSTEX T60RPmk2と従来機のT60RPを比較しての違いは?

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フォステクスは、 全面駆動型平面振動板のRPドライバーを採用したオーバーイヤーセミオープン型ヘッドホン「T60RPmk2」を2025年4月下旬に発売。オープン価格で実売価格は64,350円前後。2017年発売の「T60RP」(発売時定価32,000円、現在の実売価格約4.4万円)の後継機。 T60RPmk2とT60RPを比較しての違いを解説。どちらをどう選べばよいかも案内します。

FOSTEX T60RPシリーズの概要

T60RPシリーズの基本的な特徴

FOSTEX T60RPシリーズは、フォステクスが誇る平面振動板を採用したヘッドホンシリーズであり、その特徴は高い音質と耐久性にあります。RP(Regular Phase)ドライバーを搭載しており、この技術がもたらす正確かつ自然な音の再現性が評価されています。また、セミオープン型の設計により、抜けの良い音場感と耳に優しい装着感を提供します。このシリーズは、モニターヘッドホンとしての用途から音楽鑑賞まで幅広いユーザー層に支持されています。

T60RPとT60RPmk2、それぞれの位置付け

T60RPシリーズには、初期モデルのT60RPと最新モデルのT60RPmk2がラインナップされています。T60RPは、アフリカンマホガニー材を使用したハウジングと高耐入力を誇る設計が特徴で、多くの録音現場でモニタリング用途に採用されてきました。一方、T60RPmk2は第4世代の全面駆動型平面振動板を搭載し、黒胡桃(ウォールナット)無垢材ハウジングを採用して高級感を高めた上位モデルです。また、音質面や装着感、ケーブル仕様などが大幅にブラッシュアップされており、プロフェッショナル用途のみならずハイエンドリスニング用途にも対応できる進化を遂げています。

設計思想と開発背景について

フォステクスが設計したT60RPシリーズには、長年にわたるRP技術の進化と、モニターヘッドホンへの高い要求に応えるという哲学が反映されています。特に、完全な再現性を目指した平面振動板技術と、耐久性を兼ね備えた設計は、フォステクス製品の代表的な特長のひとつです。さらに、T60RPmk2においては、音楽制作現場での使用のみならず、リスニング用途でも至高の音質体験を提供することを目的として設計されています。このような背景から、音響工学の進化と職人技術が織り交ぜられた製品が誕生しています。

FOSTEX T60RPmk2と従来機のT60RPの違い

RPドライバーの世代の違い:T60RPmk2は第4世代に進化した全面駆動型平面振動板のRPドライバーを採用

FOSTEX T60RPmk2は、第4世代の全面駆動型平面振動板を採用したRPドライバーを搭載しています。この新しいドライバーにより、音の分離感やトランジェント(音の立ち上がり)が向上し、音質がさらにクリアで繊細になっています。

これに対し、従来モデルのT60RPは第3世代のRPドライバーを採用しており、第4世代ほどの進化は見られませんが、十分な性能を備えたドライバー設計が特徴です。この違いにより、T60RPmk2はより高度なサウンド表現が可能となっています。

ハウジング素材の違い:T60RPmk2は黒胡桃(ウォールナット)材無垢材削り出し、T60RPはアフリカンマホガニー材

T60RPmk2ではハウジングに黒胡桃(ウォールナット)材の削り出し無垢材が使用されています。この素材は高級感とともに、音響特性をさらに向上させています。

一方、従来モデルのT60RPはアフリカンマホガニー材のハウジングを採用しており、こちらも高品質ですが、ウォールナットに比べると音の引き締まり感やデザイン面で劣るといえます。ウォールナット材は、音に温もりを加えながらクリアなサウンドを実現する点で特に評価されています。

再生周波数帯域の違い:T60RPmk2は10Hz~40kHzと広帯域、T60RPは15Hz~35kHz

再生周波数帯域に関しては、T60RPmk2が10Hzから40kHzと、T60RPの15Hzから35kHzに比べてさらに広い帯域をカバーする設計になっています。この帯域拡大により、低音域のディープさや高音域の伸びが一層向上し、より臨場感溢れる音楽表現が可能になっています。特に音質へのこだわりが求められるリスニング用途では、この帯域の広さが大きなアドバンテージとなります。

インピーダンスの違い:T60RPmk2は28Ω、T60RPは50Ω

インピーダンスの違いは、使用するアンプや機器との相性に影響を与えます。T60RPmk2は28Ωと低インピーダンスになっており、ポータブル機器でも駆動しやすい設計になっています。一方で、T60RPは50Ωでやや高インピーダンスのため、専用のヘッドホンアンプとの組み合わせが求められる場合があります。この違いにより、T60RPmk2は機器を選ばず幅広く利用できる利便性が高まっています。

感度の違い:T60RPmk2は96dB/mW、T60RPは92dB/mW

T60RPmk2の感度は96dB/mWに向上しており、T60RPの感度92dB/mWに比べて小さな音量でもクリアなサウンドを提供できます。これにより、低出力のオーディオデバイスでもより効率的に音を楽しむことが可能です。一方で、T60RPは感度が低めであり、より高出力のデバイスと組み合わせた使用が推奨されます。

ヘッドホン本体重量の違い:T60RPmk2は360gと軽量化、T60RPは380g

T60RPmk2ではヘッドホン本体の重量が360gと軽量化されており、従来モデルのT60RPの380gと比較して装着感がさらに向上しています。これにより、長時間の使用でも疲れにくく快適なリスニング体験が可能となっています。

リケーブル機構の違い:

T60RPmk2のリケーブル機構では、左右のハウジング両方に新しい2極3.5mmコネクタを備え、標準のYケーブル仕様となっています。この設計により、ケーブルの汎用性が高く、バランス接続にも適応できます。

一方、T60RPは3.5mm(4極)の片出し仕様で、ケーブル変更の選択肢が制限されています。このリケーブルの利便性は、T60RPmk2を音響環境への柔軟な対応が求められるユーザーにとって大きなメリットとなっています。

価格の違い:T60RPmk2は実売約6.4万円、T60RPは約4.4万円

価格面では、T60RPmk2の実売価格が約64,000円と、T60RPの約44,000円よりも高価格帯に設定されています。この差は主に新素材のハウジングや第4世代RPドライバーの採用、リケーブル機構の改良などによるコスト増加に起因していますが、その分、品質や音質の向上が期待されるため、価格に見合った価値があると言えるでしょう。

FOSTEX T60RPmk2と従来機のT60RPに共通の内容

平面振動板を用いたセミオープン型ヘッドホン

FOSTEX T60RPmk2とT60RPはいずれも平面振動板を用いたセミオープン型ヘッドホンです。この設計により、開放感のあるリスニング体験が得られ、音の解像度や透明感が際立っています。特に、RPドライバー(Regular Phase/平面振動板)技術の採用が特徴で、フォステクスならではの高い音質を実現しています。

フォステクス独自のRP振動板(Regular Phase/平面振動板)を使用

T60RPmk2とT60RPはどちらもフォステクス独自のRP振動板(Regular Phase/平面振動板)を搭載しています。この振動板は全面駆動で音の歪みを低減し、よりクリアかつ正確なサウンド再生を可能にしています。RP振動板は長年のヘッドホン開発で培われたフォステクスの技術が結集されており、特にモニターヘッドホンを好むユーザーから高い評価を得ています。

3,000mWまでの高い耐入力を実現

FOSTEX T60RPmk2とT60RPはいずれも3,000mWまでの高い耐入力を実現しています。この仕様により、大音量でのリスニングや、ハイパワーのヘッドホンアンプを使用した際にも安定した性能を発揮します。特に音楽制作環境やモニタリング用途において、その耐久性と信頼性が大きなメリットとなっています。

イヤーパッドは装着感を追求した低反発のアラウンドイヤー型

どちらのモデルも、装着感を重視した低反発素材のアラウンドイヤー型イヤーパッドを採用しています。このイヤーパッドは耳に優しくフィットし、長時間の使用でも疲れにくい設計となっています。これにより、音楽制作やリスニングに集中できる快適な装着感を提供します。

別売オプションの東レのUltrasuedeを使ったイヤーパッド「EX-EP-RP-SUEDE」も装着可能

T60RPmk2とT60RPは、それぞれ別売オプションの「EX-EP-RP-SUEDE」イヤーパッドに対応しています。このイヤーパッドは東レの高機能素材「Ultrasuede」を使用しており、さらなる装着感の向上が可能です。これを用いることで、使用者の好みに合わせたカスタマイズが実現します。

ケーブルは着脱可能で、別売ケーブルを使ったバランス接続にも対応

両モデルともケーブルが着脱可能な仕様となっています。このため、ユーザー自身でケーブルを交換し、バランス接続や高品質なサウンドを追求することができます。また、着脱式ケーブルはメンテナンス性にも優れ、利便性が高い設計です。FOSTEXブランドならではの柔軟性が、さまざまな用途に対応します。

FOSTEX T60RPmk2とT60RPの違いの簡単なまとめ

FOSTEX T60RPmk2とT60RPは、どちらもフォステクスが誇る「RP技術」を採用した平面振動板を搭載したヘッドホンシリーズですが、いくつかの重要な違いがあります。T60RPmk2では最新の第4世代RPドライバーを採用し、T60RPよりもさらに精密でクリアな音質を実現しています。ハウジング素材には、T60RPのアフリカンマホガニー材に代わり、黒胡桃無垢材を使用しており、音響特性だけでなく外観の高級感も向上しています。

その他にも、再生周波数特性の向上(T60RPmk2は10Hz~40kHz)、インピーダンスと感度の改良、軽量化されたボディ設計(T60RPmk2は360g)、そして新しいリケーブル機構の導入など、さまざまな点で進化しています。T60RPmk2の実売価格は約6.4万円で、従来機のT60RP(約4.4万円)より上位の仕様となっています。こうした違いを踏まえると、T60RPmk2はさらなる高解像度と高い使い勝手を求めるユーザーに適した選択肢といえるでしょう。

FOSTEX T60RPmk2とT60RPの共通点の簡単なまとめ

FOSTEX T60RPmk2とT60RPには、いくつかの共通点があります。まず、両機種ともフォステクスが誇るRP振動板(Regular Phase/平面振動板)を採用しており、平面磁界型ドライバーによる高解像度の音質を実現しています。この技術は、音楽制作用途にも対応する正確な音の再現を可能にし、フォステクスのモニターヘッドホンシリーズの特徴ともいえるポイントです。

また、両モデルともセミオープン型のデザインを採用しており、外部からの音を適度に取り入れることで自然な音場を提供します。この設計により、長時間のリスニングセッションや音楽制作でも疲れにくい仕様となっています。さらに、装着感を追求した低反発のアラウンドイヤーイヤーパッドも標準装備されており、快適性を高めています。

その他の共通点として、最大3,000mWまでの高耐入力に対応している点が挙げられます。この仕様は、ハイパワーのオーディオ機器と接続する場合でも安定した音質を維持できることを意味します。また、ケーブルは着脱可能で、別売のバランス接続用ケーブルを使うことで、高解像度のバランス接続も可能です。

さらに、オプションアクセサリーとして、東レのUltrasuedeを使用したイヤーパッド「EX-EP-RP-SUEDE」も両モデルに対応しています。このようなアクセサリーにより、自分好みのカスタマイズが可能になります。以上のように、FOSTEX T60RPmk2とT60RPは共通の特徴を多く持ち、どちらもフォステクスの技術の高さを体感できる製品となっています。

FOSTEX T60RPmk2とT60RPの仕様比較表

項目 T60RPmk2 T60RP
型式 セミオープンダイナミック型 セミオープンダイナミック型
ドライバー RP方式平面振動板 RP方式平面振動板
再生周波数帯域 10~40,000 Hz 15〜35,000 Hz
インピーダンス 28 Ω 50 Ω
感度 96 dB/mW 92 dB/mW
最大入力 3,000 mW 3,000 mW
本体質量(ケーブル除く) 約360g 約380g

🔍 補足ポイント

  • T60RPmk2 は、周波数帯域がより広く、特に低音域が10Hzまで対応しており、高域・低域のレンジが向上
  • インピーダンスが低くなり(50Ω → 28Ω)感度も向上しているため、T60RPmk2のほうが駆動しやすい(アンプの負担がやや軽くなる)。
  • 重量も軽量化(20g減)されており、装着感にも違いがある可能性あり。

どちらも同じ「RP方式平面振動板」を搭載していますが、T60RPmk2のほうがスペック上では改良版といえる内容です。

音質の違いを予測

低音域の表現力の変化

FOSTEX T60RPmk2は、第4世代RPドライバーを採用することで低音域の表現力が向上していると考えられます。T60RPと比較してさらなる密度感と深みが加わり、重低音の再現性がより正確になっています(発売前の各オーディオイベントなどでの試聴レビュー情報からも確かなようです)。一方、T60RPも十分に豊かな低音を持っていますが、T60RPmk2では広帯域化された周波数特性(10Hz〜40kHz)が影響し、微細な振動まで再現可能となっている点が特徴的です。このため、特にエレクトロニカやクラシック、映画のサウンドトラックなど低音が重要な音楽ジャンルにおいてその違いが際立つでしょう。

中音域の明瞭性とディテール

中音域においては、T60RPmk2の新しいドライバー構造が恩恵をもたらしています。トランジェント(音の立ち上がり)の改善が顕著で、各楽器やボーカルの音がより粒立ち、細かなニュアンスが明確に表現されます。その結果、T60RPmk2ではより解像度が高く、再現性に優れた音が感じられるでしょう。一方、T60RPもRP振動板特有のフラットな特性故に中域のバランスが良好で、モニターヘッドホンとしての役割を十分に果たしますが、明瞭性という点ではT60RPmk2に軍配が上がりそうです。

高音域の伸びと透明感

T60RPmk2は、従来モデルのT60RPに比べて再生周波数帯域が広がっているため、高音域の伸びと透明感がより際立つ設計となっています。その結果、空気感や音の奥行きが感じられると思われるため、ライブ音源やハイレゾ音源でのリスニングに最適と言えるでしょう。T60RPも鮮明な高音を再現しますが、特に繊細なピアノやバイオリン、女性ボーカルの高音域表現において、T60RPmk2の方が優位性を持つと予測されます。

リスニング環境での違いを予測

リスニング環境における違いとして、T60RPmk2はセミオープン型の構造と黒胡桃無垢材のハウジングにより、より自然で広がりのある音場を提供します。これにより、自宅などでのリスニング体験がよりリラックスできるものになるでしょう。一方で、T60RPもセミオープン型ながら高いモニタリング性能を持っており、音源を正確に把握したい場合には適しています。

また、T60RPmk2の感度が96dB/mWと高く、インピーダンスが28Ωと低めであるため、低出力のアンプでも十分にドライブ可能という点で利便性が向上しています。この違いは、ポータブルアンプやスマートフォンでの利用にも影響するため、使用目的に応じて選択すべきポイントと言えるでしょう。

どちらを選ぶべきか?用途別のおすすめ

音楽制作とT60RPmk2のメリット

音楽制作を目的とする場合は、FOSTEX T60RPmk2が特におすすめです。T60RPmk2は、最新の第4世代RPドライバーを採用しており、これによって音の分離感が優れ、各楽器や音のニュアンスがより明瞭に表現できる特徴があります。この優れた音質は、録音スタジオやミキシングなど、音楽制作において欠かせない精密な音の再現をサポートします。また、T60RPmk2は感度が高く、96dB/mWという仕様により、少ない電力でも十分な音量が得られるため、さまざまなオーディオ機器と互換性があります。黒胡桃無垢材のハウジングも、不要な振動を抑えることで音質の引き締まり感を高める効果があり、プロフェッショナルな現場での使用に適した仕様です。

リスニング用途での選択肢

リスニング用途では、FOSTEX T60RPmk2T60RPのどちらも魅力的な選択肢です。T60RPはややリーズナブルな価格設定になっており、音楽鑑賞を趣味とするカジュアルなユーザー向きといえます。一方、T60RPmk2は周波数帯域が広く、10Hz~40kHzの範囲に対応しているため、より繊細な音のディテールを楽しむことができます。そのため、ハイレゾ音源やクラシック、ジャズなど音質を求めるジャンルには特に適しています。また、T60RPmk2は軽量化された360gのヘッドホン本体重量により、長時間の使用でも快適さを維持しやすく、没入感を重視するリスニング環境に最適な選択肢です。

コストパフォーマンスの観点からの分析

コストパフォーマンスを重視する場合、T60RPは非常に優れた選択肢です。同じくフォステクスのRP技術を採用しており、高品質な平面振動板ドライバーを約4.4万円という価格で手に入れることができます。一方、T60RPmk2は約6.4万円とやや高価ですが、その価格差は進化した第4世代RPドライバーや黒胡桃無垢材の高級ハウジング、広がった再生帯域などの性能差を反映しており、ハイエンドモデルにふさわしい価値を持っています。そのため、予算に応じて優先事項を考慮することが重要です。

長時間使用時の快適性比較

長時間使用時の快適性に関しては、FOSTEX T60RPmk2がより適しているといえます。本体重量が360gと軽量化されているため、耳や頭に加わる圧力が軽減され、長時間の装着でも疲労感が少なくなっています。一方、T60RPもアフリカンマホガニー材を使用したハウジングにより、耳への適度なフィット感を提供しますが、重量が380gとわずかに重く、装着感に敏感な方にとっては長時間使用で若干の負担を感じるかもしれません。どちらも高品質なイヤーパッドを採用しているため、快適性については個々のフィット感の好みによって選ぶのがよいでしょう。

まとめ

FOSTEX T60RPmk2と従来機のT60RPを比較すると、T60RPmk2は第4世代のRPドライバーを採用し、黒胡桃無垢材のハウジングや再生周波数帯域の広さなど、音質やデザインにおいてさまざまな進化を遂げています。一方、T60RPはコストパフォーマンスが高く、幅広い層におすすめできるモデルです(ただし鳴らしにくさを考慮したうえで)。

どちらのモデルも、フォステクス独自の平面振動板技術(RP技術)を採用し、高級感のある仕上がりと独特の音質を提供しています。特に音質面では、T60RPmk2のほうが新技術を反映した高度な表現力を持つ一方、T60RPは伝統的な忠実性を備えており、用途や予算によって適切な選択肢が異なります。

最終的には、音楽制作やプロ向け用途ならT60RPmk2、コストパフォーマンスを重視する場合はT60RPが推奨されます。これらの詳細な違いを理解し、自分の使用目的や求める音質に合わせて最適なモデルを選んでください!

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