SENNHEISER HD 490 PRO 開放型モニターヘッドホン新モデル
ゼンハイザージャパンは、音楽制作などのプロ向けを謳う開放型モニターヘッドホン「HD 490 PRO」を3月21日より発売。オープン価格で、店頭予想価格は66,000円前後。付属品が追加された「HD 490 PRO Plus」も用意し、店頭予想価格は77,000円前後。
スタジオなどで音楽制作向けのモニター用途を意図した開放型のオーバーイヤーヘッドホン。
「HD 490 PRO」(と「HD 490 PRO Plus」)の内容・特徴の紹介と、各種レビュー・評価からうかがえる本機の実力や固有の魅力などについて分析・考察します。
HD 490 PROとHD 490 PRO Plusの違い
価格が1.1万円違う「HD 490 PRO」と「HD 490 PRO Plus」の違いは、「HD 490 PRO Plus」は付属品に3mのロングケーブル、ヘッドバンド用の追加パッド(ファブリック素材)、ケースが付属している点。ヘッドホン本体は同一のものです。
当記事では「HD 490 PRO」と「HD 490 PRO Plus」をヘッドホンとしては同じものとして扱うので、基本的に以下「HD 490 PRO」とのみ記します。
SENNHEISER HD 490 PRO 内容・特徴
ドライバーとハウジングの詳細
HD 490 PROは、38mm径ダイナミック型ドライバーを搭載しています。このダイナミック型ドライバーは、軽量でレスポンスが良く、5Hz〜36kHzという幅広い周波数帯域を再生することができます。
HD 490 PROのドライバーは、イヤーカップに傾斜を設けることで、最適なリスニングポジションを実現しています。また、ネオジム磁石と低周波シリンダーを搭載することで、正確でクリアな低音再生を実現しています。
オープン・フレーム・アーキテクチャ
HD 490 PROは、オープン・フレーム・アーキテクチャを採用しています。オープン・フレーム・アーキテクチャは、ハウジング内部の空気の流れを改善し、THD(全高調波歪み)や共振を最小限に抑える効果があります。これにより、クリアで自然な音質を実現しています。
スイーベル機構
HD 490 PROは、ハウジングが水平に開くスイーベル機構を採用しています。
スイーベル機構により、片耳だけをモニタリングしたり、ヘッドホンを首にかけて休憩したりすることができます。
メッシュハウジング
HD 490 PROは、SENNHEISERではおなじみの金属素材性のメッシュハウジングを採用しています。メッシュハウジングは、ハニカム構造で耐久性が高く、通気性に優れています。これにより、長時間の使用でも快適な装着感を実現しています。
イヤーパッドとヘッドパッドの詳細解説
2種類のイヤーパッドが付属
HD 490 PROは、簡単に着脱できるイヤーパッドを採用しており、洗濯や交換が可能です。
本機におけるイヤーパッドは、装着感だけでなく音質にも影響を与える重要な要素と謳っています。ベロア素材の「制作用イヤーパッド」とファブリック調素材の「ミキシングイヤーパッド」の2種類のイヤーパッドが付属しており、用途や好みに合わせて使い分けることができます。
制作用イヤーパッド
ベロア調素材で、柔らかい肌触りと高い遮音性を備えています。
温かみがあり、遠近感に富んだサウンド傾向
音の総合的な判断や音楽鑑賞に適しています。
ミキシングイヤーパッド
ファブリック調素材で、通気性に優れています。
音の反射を抑え、フラットでニュートラルなサウンドを実現します。
ミキシング作業をはじめモニタリングに最適です。
ヘッドパッドにも工夫
HD 490 PROには、ベロア調素材のヘッドパッドが付属しています。HD 490 PRO Plusには、ベロア調とファブリック調の2種類のヘッドパッドが付属しています。
ヘッドパッドは、頭頂部への負担を軽減する重要な要素です。素材や厚みによって、装着感が大きく変わります。HD 490 PRO Plusでは2種類のヘッドパッドを付属することで装着感や使用感の調整を図っています。
ベロア調ヘッドパッド
柔らかい肌触りで、長時間使用しても快適です。
ファブリック調ヘッドパッド
通気性に優れています。
頭頂部の蒸れを抑えます。
特許技術を使用したヘッドバンドを採用
このヘッドバンドは、頭部に均等に圧力を分散させることで、長時間使用しても圧迫感を感じることなく快適に作業することができます。また、長さ調整が可能なので、頭にフィットさせることができます。
左右の識別が容易
L側のイヤーカップには、点字ガイドが設けられています。これにより、暗い場所でも左右を間違えずに装着することができます。
メガネをかけていても快適な装着感を実現
HD 490 PROは、メガネをかけていても快適な装着感を実現しています。イヤーカップは、柔軟な素材で作られており、メガネのツルに干渉することなく、耳にフィットさせることができます。
バランス接続にも対応できるリケーブル対応ミニXLR端子
HD 490 PROは、ヘッドホン側端子にミニXLRを採用しています。ミニXLRは、3.5mmステレオミニプラグよりも耐久性が高く、断線しにくいというメリットがあります。また、左右どちらのイヤーカップにも接続することができるので、ケーブルの取り回しが自由です。
バランス接続に対応したオプションケーブルの発売も予定されています。
イマーシブオーディオ制作ツール関連の付属品
DAWのプラグインとして使用可能なイマーシブオーディオ制作ツール「Dear Reality」のソフトウェア「dearVR MIX-SE」のアクティベーションコードも付属。
いわゆる空間オーディオの制作用モニターヘッドホンとしての活用も意図されています。
SENNHEISER HD 490 PRO 仕様
周波数特性は5Hz〜36kHz。インピーダンスは130Ω。音圧感度は105dB SPL(1kHz/1Vrms)、96dB SPL(1kHz/1mW)。歪率は0.2%未満(1kHz, 100dB SPL)。
SENNHEISER HD 490 PRO レビューサイト




SENNHEISER HD 490 PRO レビュー・評価分析
音質面の評価
基本的な音質傾向
解像度が高く、細部まで聞き取れる
音の分離が良く、定位感も良い
遠近感や立体感の表現力にも優れている
低音域は、イヤーパッドによって傾向が異なるものの十分な再現性
高音域はクリアで、刺さる感じはない
基本的な音質傾向は、SENNHEISERのこれまでの開放型モニターヘッドホンと同様のサウンド傾向で、プロ用モニターとしての働きを十分に果たせるものとなっているようです。
イヤーパッドによる音質傾向の違い
SENNHEISER HD 490 PRO は、2種類のイヤーパッドが付属しており、制作用とミキシング用で音質傾向が異なると謳われています。実際のレビュー・評価でもその音質の違いは明らかです。
制作用イヤーパッドでの音質評価の傾向
音のバランスが良く、全体的な音の響きや溶け合いを楽しめる
低音域がやや強調されており、音楽鑑賞にも適した豊かなサウンド傾向
長時間使用しても聴き疲れしにくい温かみを感じるナチュラルなサウンド
ミキシング用イヤーパッドでの音質評価の傾向
低音域はほどよい量で、ややタイトで、モニター用途に適したニュートラルなサウンド傾向
個別の音や細部が聞き取りやすく、音の分析に最適
高音域がクリアで、ミックス作業に適している
装着感の評価
260gと軽量で、長時間使用しても負担が少ない
イヤーパッドは柔らかく、耳への負担が少ない
側圧は適度で、頭が痛くなりにくい
そのほかの評価のまとめ
・1台で音楽鑑賞用、モニター用とかなり異なる音質で楽しめるので、この価格で2台のヘッドホンを使えるのと同等と考えればお得。
・いかにもプロ用といったシンプルで素っ気ない外観は、価格を考慮するとモノとしての魅力には乏しい
・SENNHEISERにはすでにHD 600をはじめ、人気・実績のある開放型モニターヘッドホンがあるので、既存モデルとの差別化は難しいかも。
・昨今話題の空間オーディオ音源作成用を意識しているであろうメーカーの意図に乗れるかどうかもポイントかもしれない
SENNHEISER HD 490 PROの数少ない空間オーディオ対応モニターヘッドホンとしての意義
「HD 490 PRO」は、イマーシブオーディオ制作ツール「Dear Reality」のソフトウェア「dearVR MIX-SE」のアクティベーションコードも付属していることから、昨今話題の空間オーディオに対応した音源の作成用を意図していると思われます。
空間オーディオ作成対応を謳ったモニターヘッドホンというと、これまではソニーのMDR-MV1くらいしかないため、本機はMDR-MV1に対抗する空間オーディオ制作用モニターヘッドホンと見ることもできるでしょう。
SENNHEISER HD 490 PRO おすすめユーザーと使い方
SENNHEISER HD 490 PROは、音楽制作、ミキシング、マスタリングなど、幅広い用途に使える開放型モニタリングヘッドホンです。
2種類のイヤーパッドによる音質の違いと、空間オーディオ制作への活用といった本機の特徴を踏まえて、とくにおすすめできるユーザーや使い方について考察します。
・音楽制作、ミキシング、マスタリングを行うクリエイター
高解像度と正確な音質で、音の細部まで聞き取ることができます。
開放型設計により、広い音場感と自然な音響を実現します。
音楽制作、ミキシング、マスタリングでの使い方
ミキシング用イヤーパッドを使用して、音のバランスや細部を確認します。
必要に応じて、プロデュース用イヤーパッドに交換して、全体の音響を確認します。
・音楽鑑賞を楽しむリスナー
豊かな低音域とクリアな高音域で、音楽を臨場感豊かに楽しめます。
2種類のイヤーパッドで、好みの音質に調整できます。
音楽鑑賞での使い方
好みの音質になるイヤーパッドを選び、音楽を楽しめます。
・空間オーディオ制作や鑑賞に興味がある人
近年、3DオーディオやVRコンテンツの制作において、空間オーディオが注目されています。
HD 490 PROは、開放型設計と広い音場感により、空間オーディオ制作および鑑賞に適しています。
2種類のイヤーパッドを使い分けることで、音の定位感を調整し、よりリアルな空間表現を実現できます。
空間オーディオ制作・鑑賞での使い方
ミキシング用イヤーパッドを使用して、音の定位感を調整します。
必要に応じて、プロデュース用イヤーパッドに交換して、全体の音響を確認します。
注意点
開放型ヘッドホンは、音漏れするため、周囲に音が聞こえては困る環境では使用できません。
本機のような高品位な開放型ヘッドホンで高音質で音楽を楽しむためには、高音質な音源とアンプが必要です。
まとめ
SENNHEISER HD 490 PROは、2種類のイヤーパッドによる音質の違いと、空間オーディオ制作への活用など、幅広い用途に対応できる開放型モニタリングヘッドホンです。音楽制作、ミキシング、マスタリング、音楽鑑賞など、さまざまな用途に活用できます。
HD 490 PROは、とくに音楽鑑賞とモニター用途を1台でこなしたいユーザーにとって、価格以上の価値を提供する魅力的なヘッドホンです。
シンプルな外観やHD 600など他モデルとの差別化は課題ですが、空間オーディオ音源制作への活用など、新たな可能性も秘めています。
購入を検討する際は、音質傾向、装着感、音漏れなどの点を考慮し、自身のニーズに合致するかどうかを判断することが重要です。



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