ラックスマン(LUXMAN)は、単体DACの新モデル「DA-07X」を2024年10月に発売します。価格は638,000円。2022年発売のSACD/CDプレーヤー「D-07X」(825,000円)からディスク再生機能を取り除き、DACとしての機能や音質性能をブラッシュアップしたモデルとしています。
LUXMAN DA-07XとD-07Xを比較しての違いを解説し、どちらのモデルがどのようなユーザーにおすすめかも考察します。
DA-07XとD-07Xの概要と共通点
LUXMANのDA-07Xは、2022年に発売されたDAC機能搭載SACD/CDプレーヤー「D-07X」(825,000円)を基に開発されたUSB対応単体DAコンバーターです。両モデルともに、ROHM製「MUS-IC」シリーズのDACチップ「BD34301EKV」をデュアルモノ構成で採用しており、高音質を追求しています。また、DAC機能を利用でき、USB入力時には最大PCM768kHz/32bit、DSD22.5MHzまで対応し、さらにMQAのフルデコーダー機能も搭載しています。
DA-07XとD-07Xは共通して、フィルター切り替え機能や選択可能な出力位相切替機能など、多彩な音質調整オプションを提供しています。さらに、内蔵されたクロックモジュールは低ジッターで超低位相雑音を実現しており、音楽再生時のノイズを最小限に抑えます。これらの共通点は、LUXMANの優れた技術力を示しており、高品質な音楽再生を提供するための重要な要素となっています。
DA-07Xの特徴
ディスク再生機能の排除によるメリット
ラックスマンの新製品DA-07Xは、ディスク再生機能をあえて排除することで数多くのメリットを実現しています。マルチメディアプレーヤーとしてではなく、純粋なDACとして設計されたため、音質の向上に焦点を当てることが可能となりました。この設計方針により、DAC回路やデジタル入力の品質が向上し、よりクリアでリアルな音質を提供できます。
D-07Xの特徴
SACD/CDプレーヤーとしての魅力
LUXMANのD-07Xは、SACD/CDプレーヤーとして非常に高い評価を受けています。まず、対応ディスクが2チャンネルSACD、CD、MQA-CDと非常に幅広く、これは多くの音楽ファンにとって大きな魅力です。それでいて、DAC部も単独利用できるので、活用範囲が広く利便性の高いプレーヤーとなっています。
LUXMANDA-07XとD-07Xを比較しての詳しい違いを解説
光学ディスクドライブ搭載の有無
LUXMANDA-07XとD-07Xを比較しての違いとして、まず注目すべきは光学ディスクドライブの有無です。D-07XはCD、SACD、MQA-CDの再生が可能な光学ディスクドライブを搭載しています。しかし、DA-07Xはディスクドライブを搭載せず、ディスク再生機能を排除したモデルです。
CD/SACD/MQA-CDを再生できるのはD-07X
前述の通り、D-07XはCDやSACD、MQA-CDを再生することができます。この機能により、ディスクメディアを愛するオーディオファンにとっては非常に魅力的です。一方で、DA-07Xはディスク再生機能が無いため、デジタル音源を重視するユーザーに向けたモデルといえます。
DA-07Xは音質面でより追い込んでいると謳っている
DA-07Xは光学ディスクドライブを排除した分、高精度な部品や技術(とくにデジタル関連)を音質追求に投入しています。これにより、DACとしてのパフォーマンスをより高めることができています。当機種は、最新のデジタル入力処理技術やジッター低減機能をフルに活用しています。
デジタル入力の数や対応端子はDA-07Xが多い
DA-07Xはデジタル入力の数や対応する端子が豊富です。USB、同軸×2、光デジタル×2、XLRバランス(AES/EBU)の各入力に対応し、様々なデジタルソースから高音質での再生が可能です。特に、多様なデジタルデバイスを複数同時に接続したいユーザーには最適です。D-07Xは各1系統の入力でXLRバランス(AES/EBU)には対応していません。
デジタル入力ごとに最適化された各種低ジッター化機能を搭載しているのはDA-07X
LUXMANDA-07Xには、各デジタル入力ごとに最適化された低ジッター化機能が搭載されています。これにより、入力ソースのジッターを極限まで低減させ、高音質を実現します。
入力デジタル信号をスルー出力可能な(同軸/光各1系統)DDコンバーター機能をDA-07Xは備える
DA-07Xには、入力デジタル信号をスルー出力できるDDコンバーター機能が備わっています。これにより、他のデジタルデバイスに信号をそのまま渡すことが可能で、システムの柔軟性が高まります。
アナログ出力の品質を向上させるデジタル出力オフ機能を搭載しているのはDA-07X
DA-07Xでは、アナログ出力の品質向上を目的としたデジタル出力オフ機能が搭載されています。この機能により、使用しないときのデジタル出力をオフにすることで、アナログ信号の純度を高めます。
DA-07Xは新採用の高精細有機ELディスプレイを内蔵した大型ウィンドウ
DA-07Xには新たに採用された高精細有機ELディスプレイが内蔵されており、大型ウィンドウで視認性が非常に良いです。このディスプレイにより、視覚的なインターフェースも高品質で提供されます。
価格はCD/SACD再生機能が無い分DA-07Xが安い
価格面で比較すると、CDやSACD再生機能が無い分DA-07Xの方が安価です。具体的には、DA-07Xは税込638,000円で提供されています。D-07Xの価格は825,000円です。価格重視で、なおかつディスク再生が不要なユーザーにはDA-07Xが魅力的です。
筐体サイズと重量はDA-07Xのほうが小型・軽量
筐体サイズと重量について比較すると、DA-07Xのほうが小型で軽量です。これにより、設置場所や持ち運びにおいて柔軟性があります。限られたスペースでオーディオ機器を設置したい場合には、DA-07Xが適しています。ただ、オーディオ機器は大きくて重いほうが音がいいという価値観の人には異なる意味になるかもしれませんが。
DA-07Xの外形寸法は440×402×92mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は12.8kg。
D-07Xの外形寸法は440×410×132mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は17kg。
LUXMANDA-07XとD-07Xの共通の内容を解説
ROHM製DACチップ「BD34301EKV」を採用
どちらのモデルも、ROHM製「MUS-IC」シリーズのトップエンドDACチップ「BD34301EKV」をデュアルモノ構成で採用しています。この構成により、左右チャンネルの干渉を最小限に抑え、鮮明なステレオイメージを実現しています。
超低位相雑音クロックモジュール搭載
高精度で低ジッターの超低位相雑音クロックモジュールを両機種に搭載しており、再生音の時間軸での精度を向上させています。これにより、音の定位や解像度が一段と高まります。
USB入力時には、最大PCM768kHz/32bit、DSD22.5MHzにまで対応
USB入力時には、DA-07XとD-07Xの両方とも、最大PCM768kHz/32bitおよびDSD22.5MHzまで対応しています。これにより、ハイスペックなハイレゾ音源でも高品位な再生が可能です。
デジタル入力経由のMQAフォーマットのフルデコーダー機能も搭載
デジタル入力経由でのMQAフォーマットのフルデコーダー機能を搭載しており、MQAファイルの高品質な再生ができます。これにより、MQAの利点を生かした、自然で高解像度の音を楽しむことができます。
好みの音質を選択可能なフィルター切り替え機能も搭載
音質を好みに合わせて選べるフィルター切り替え機能が備わっています。リスニング環境や楽曲のジャンルに応じて最適なフィルタを選べるのが便利です。
アナログ回路にはフルバランス構成のI/V変換と、高音質ディスクリートバッファー回路を搭載
アナログ回路には、モノラルモードで動作するDACチップの差動出力を受けるフルバランス構成のI/V変換と、LPFステージを兼ねた高音質ディスクリートバッファー回路を搭載しています。これにより、より豊かな音楽表現が可能となっています。
充実した電源部
電源部には大型電源トランスを採用し、さらに各回路ごとに独立したレギュレーターとカスタム仕様の大容量ブロックコンデンサーを搭載しています。これにより、電力供給の安定性が向上し、音質の向上につながります。
高品位な配線やパーツ
内部配線にはOFC(高純度無酸素銅)を使用し、基板にはラウンドパターン配線を採用しています。さらに、オリジナルのカスタムパーツをふんだんに使用することで、音質面での優位性を確保しています。
高剛性筐体
筐体の構造にはシールドシャーシを採用し、さらに極厚の鋼板ボトムシャーシ(2枚構成で計3.6mm厚)を採用しています。これにより、外部からの振動やノイズを効果的に遮断し、音質の向上を図っています。
グラデーション鋳鉄製レッグを採用
脚部には、グラデーション鋳鉄製のレッグを採用しており、しっかりとした支持力とともに良好な振動吸収性を発揮します。これにより、音質の安定性が向上します。
アナログ出力はRCA出力端子とXLRバランス出力端子を装備
アナログ出力には、RCA出力端子とXLRバランス出力端子が装備されています。これにより、システムの接続の幅が広がり、高音質な伝送が可能になります。
電源ケーブル「JPA-10000i」が付属
両モデルには、高品位な電源ケーブル「JPA-10000i」が付属しています。これにより、安定した電源供給と共にノイズの低減が図られ、音質の向上に寄与します。
DA-07XとD-07Xの比較
音質の比較
音質に関しては、LUXMANの双方のモデルがそれぞれ独自の魅力を持っています。DA-07Xは、ディスク再生機能を持たないことで、デジタルオーディオコンバーターとしての純粋な音質追求を目指しています。特に、最適化された低ジッター回路などの採用により、音場の広がりやディテール感がより高まっていると思われます。
一方、D-07Xは、SACD/CDプレーヤーとしての高い再生能力を持ち、SACDやCD再生時の音質が高く評価されています。傾向として、価格に見合った高精度かつクリアなサウンドを実現しています。
それぞれのモデルが提供する音質は、リスナーの好みによって選ぶべきポイントが異なります。デジタル音源に絞って、音場性とディテールをより重視するならDA-07Xが、幅広いディスク再生と高解像度音源の両方を楽しみたいならD-07Xがおすすめです。
使用シーンに応じた選び方
LUXMANDA-07XとD-07Xを比較しての違いを理解したなら、使用シーンに応じた選び方に反映させることが重要です。DA-07Xは、ディスク再生機能がないため、主にデジタルファイルの再生に特化したモデルです。USB入力でのPCM768kHz/32bit、DSD22.5MHz対応はもちろん、デジタル入力の数や対応端子が多く、デジタル入力ごとに最適化された低ジッター化機能が搭載されています。
一方、D-07Xは、SACD/CDプレーヤーとしても優れたパフォーマンスを発揮します。CD、SACD、そしてMQA-CDを再生できるため、ディスクメディアを多用するリスナーにとってはより理想的な選択肢です。また、価格もやや高めですが、その分幅広い用途に一台で対応できる魅力があります。
総じて、デジタルファイル再生と音質追求にフォーカスしたモデルを探しているならDA-07Xが、ディスク再生も含む多用途なプレーヤーを求めているならD-07Xが適しています。
結論
どちらがあなたに適しているか?
LUXMANのDA-07XとD-07X、どちらを選ぶべきか迷っている方も多いかと思います。それぞれの製品には異なる魅力がありますので、選ぶ際にはご自身のオーディオ環境や使用用途によって判断することをお勧めします。
まず、DA-07XはDAコンバーターとして特化しており、最新のデジタル技術を駆使し、音質面で徹底的に追い込んでいると言われています。デジタル入力の数が多く、様々な接続方法に対応できる点も魅力の一つです。特に、デジタル入力ごとに最適化された低ジッター化機能や、入力デジタル信号をスルー出力可能なDDコンバーター機能を備えているため、高度なデジタルオーディオシステムを構築したい方に向いています。
一方で、D-07XはSACD/CDプレーヤーとしてディスク再生機能を持ち、これまでの音楽コレクションを最大限に活かしたい方に理想的です。このモデルもまた最新技術を継承し、高音質を実現しています。
最終的には、ディスク再生機能が不要でデジタル音源を最高のクオリティで楽しみたい方にはDA-07Xが適しており、一方で、既存のCDやSACDコレクションと併せて高音質オーディオを楽しみたい方にはD-07Xがおすすめです。価格面でもDA-07XはD-07Xよりもやや手頃ですので、予算に応じた選び方も一つのポイントです。
このように、LUXMANDA-07XとD-07Xを比較して違いや特徴を明確にすることで、ご自身の理想の音を実現するための最適なモデルを選び出すことができるでしょう。
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