EDIFIER STAX SPIRIT S3 平面駆動型のBluetoothワイヤレスヘッドホン
平面駆動型のBluetoothワイヤレスヘッドホン「EDIFIER STAX SPIRIT S3」。2022年5月30日に定価49,990円で発売されました。本機の内容紹介と各種レビュー・評価から本機の実力を分析・考察します。
中国・EDIFIERは静電型ヘッドホンで有名な日本のSTAXを2011年に買収しています。また、平面駆動型ヘッドホンで有名なAudezeのことも買収していました(現在はソニー・インタラクティブエンタテインメントが買収)。
本機はおもにAudezeの平面駆動型ヘッドホンの技術を使用しつつ、EDIFIERのデジタル回路技術、さらにSTAXの音作りなどを組み合わせて設計された、多用途に使える高音質ヘッドホンとなっています。
概要
EDIFIER STAX SPIRIT S3は、革新的な平面磁界型ドライバーを搭載した最先端の平面駆動型ヘッドホンです。このヘッドホンは、優れた音質を提供することに加え、幅広い音楽ジャンルに対応する汎用性を備えており、多くの音楽愛好家から高い評価を受けています。その主な特徴としては、全体的な駆動力の均一性を実現する平面磁界型ドライバーの採用があります。これにより、振動板全体が均等に駆動され、ひずみ率は0.5%未満に抑えられています。
さらに、STAX SPIRIT S3は広帯域レスポンス(20Hz~40kHz)を実現しており、Hi-Res Audio認証を取得しています。また、Bluetooth 5.2対応により、安定した接続と高品質な無線音声伝送を楽しむことができます。バッテリー持続時間については、最大80時間の連続再生が可能で、長時間の使用にも適しています。
本モデルの重さは約329gとアンプ内蔵型の平面駆動型ヘッドホンとしては軽量となっており、長時間の使用でも快適さを保つための設計が施されています。また、幅広いコーデックに対応しており(aptX Adaptive、aptX HD、aptX、SBC、aptX Voice)、さまざまなデバイスでの使用が想定されています。なお、付属ケーブルでの有線接続にも対応しています(バッテリー駆動は必要)。
EDIFIER STAX SPIRIT S3の詳細
EqualMassダイヤフラムテクノロジー採用の平面磁界駆動ドライバー
EDIFIER STAX SPIRIT S3の最も特徴的な技術は、EqualMassダイヤフラムテクノロジーを採用した89×70mmの平面磁界駆動ドライバーです。Audeze Fluxor磁気構造・Uniforceダイヤフラム・Fazorフェーズマネージメントといった、おもにAudeze由来の技術を採用しています。
この技術により、振動板全体が均等に駆動され、ひずみ率を極めて低く抑えることが可能になりました。その結果、非常にクリアで解像度の高い音質を実現しています。広帯域レスポンス(20Hz~40kHz)にも対応しており、Hi-Res Audio認証も取得しているため、詳細な音の再現性が求められるリスナーにも満足のいく仕様となっています。
Snapdragon Sound対応
Snapdragon Soundの対応は、EDIFIER STAX SPIRIT S3の魅力の一つです。これにより、より高品質なオーディオストリーミングが可能になり、遅延の少ないリスニング体験を楽しむことができます。また、aptX Adaptive(最大24bit/96kHz)、aptX HDなど、ハイレゾ相当も含む幅広いコーデックに対応しており、さまざまなデバイスとの互換性も高めています。
ラムスキン製のイヤーパッド&アイスゲル使用のイヤーパッド付属
ラムスキン製のイヤーパッドとアイスゲルを使用したイヤーパッドが付属している点も、STAX SPIRIT S3の魅力です。ラムスキン製のイヤーパッドは、柔らかく耐久性があり、長時間の使用にも快適さを保ちます。更に、アイスゲル使用のイヤーパッドは、長時間利用でも耳が熱くなりにくい設計で、快適なリスニング体験を提供します。
スマートフォンアプリ・EDIFIER CONNECT対応
EDIFIER CONNECTスマートフォンアプリとの対応も、このヘッドホンの便利な機能の一つです。このアプリを使用することで、ヘッドホンの細かい設定や音質のカスタマイズが可能になり、ユーザー自身の好みに合わせた音質で音楽を楽しむことができます。また、バッテリー残量の確認やファームウェアの更新など、メンテナンスも簡単に行えます。
EDIFIER STAX SPIRIT S3 仕様
ドライバー:平面磁界駆動ドライバー
通信方式:Bluetooth 5.2
プロファイル:A2DP/AVRCP/HFP
コーデック:apt X HD/aptX Adaptive/aptX/AAC/SBC
搭載Bluetoothチップ:Qualcomm QCC5141
連続再生時間:最大80時間
充電時間:約1.5時間
そのほか:aptX Voice対応、マルチポイント対応、
インターフェイス:USB Type-C/3.5mm
重量:329g
EDIFIER STAX SPIRIT S3 レビューサイト







EDIFIER STAX SPIRIT S3 各種レビュー・評価から本機の実力を分析・考察
レビューに基づく音質評価
ユーザーレビューによると、STAX SPIRIT S3の音質はかなり好評です。多くのユーザーが、高い解像度と豊富な情報量、スッキリとした音が特徴であると述べています。音のバランスが良いこともしばしば指摘されており、幅広い音楽で自然でバランスの取れたサウンドで楽しむことが可能です。
特に、音楽ジャンルを選ばないバランスの良い音質は、多くのユーザーから好評価を得ています。重低音から高音域までクリアに再現されるサウンドは、幅広い音楽ファンに支持されているようです。
平面磁界型ドライバーが生み出す振動板全体の均一な駆動力により、歪みの少ないクリアな音質を実現している点も評価されています。Hi-Res Audio認証を受けた高解像度のサウンドも、細部まで聴き取れるほどの詳細さを持ち、スッキリとしていながらも情報量が豊富な音を提供してくれるようです。
しかし、一部のユーザーからは、STAXの名前を冠するヘッドホンでありながらSTAXの音質的特徴を感じられないという意見や、LDACに非対応である点、有線接続時でも本体バッテリーが必要という点に否定的な評価があります。
音質についても、スッキリしすぎている、思っているのとは違ったなどの否定的な意見もあります。ワイドレンジではあるものの、フラットからやや腰高で、重低音はそれほど強調されていない基本傾向のようです。
レビューに基づく音質以外の評価
バッテリー持ちも良好で、なおかつ、軽量でイヤーパッドの感触もよく、装着感もよいため、長時間の使用にも適しているとの声もあります。
アプリも多機能で好評ですが、ノイズキャンセリング機能がないことに対する不満の声もあります。DACを搭載している内蔵アンプをせっかく積んでいるのだから、USBでのデジタル入力も欲しかったという意見もあります。
EDIFIER STAX SPIRIT S3 評価の分析のまとめ
EDIFIER STAX SPIRIT S3についてのレビューと評価を分析・考察した結果、この製品は一定の購入価値があると言えるでしょう。高い評価を受けている点として、まずは音質の良さが挙げられます。解像度が高く、情報量の多さによってスッキリとした音が特徴であり、どんな音楽ジャンルにも対応可能という柔軟性を備えています。さらに、長時間の再生が可能というバッテリー性能の良さも魅力的なポイントです。
ただし、いくつかの残念な点にも留意する必要があります。LDACに非対応である点と、有線接続時でも本体バッテリーが必要なこと、そしてノイズキャンセリング機能の非搭載は、一部のユーザーにとってはデメリットとなり得ます。これらの点は購入を検討する上での重要な考慮事項となります。
しかし、総合的に見た場合、EDIFIER STAX SPIRIT S3はその価格帯において、優れた音質と機能性を提供しています。高品質な音楽体験を求めるユーザーに対して、適切な価値を提供していると言えるでしょう。幅広い音源に対応可能で、また、最大80時間の長時間再生が可能というバッテリー性能は、日常の様々なシーンでの使用を想定しても満足のいくものです。
EDIFIER STAX SPIRIT S3は買いなのかはセール価格も考慮して!
価格については、当初は定価49,990円で発売され、実売価格も4万円程度で推移していました。その価格でも十分に評価されていたものですが、2024年には3万円台に入っており、さらにはアマゾンのセールでは34,000円程度で買えるときがあります。3万円代半ばともなれば、これだけの内容・音質の平面駆動型ヘッドホンはなかなかないと思われます。
また、本機はAudeze由来の技術も使われていますが、現在AudezeはEDIFIERの元を離れているので、本機の後継や上位モデルが出ることは難しいかもしれません。本機もいつまで売られるかもわかりません。このことも考慮したほうがいいでしょう。
結論として、EDIFIER STAX SPIRIT S3は、未完の部分はあるものの、その優れた音質と長時間再生が可能なバッテリー性能、そしてコストパフォーマンス、さらにはバリエーションモデルの登場の難しさ、を考慮すると購入価値があると考えられます。平面駆動型ヘッドホンに興味のある方や、高品質な音楽体験を求める方にとって、有力な選択肢の一つとなるでしょう。
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